SaaS日本市場は2014年に2,400億円へ
大企業ユーザーがけん引役
東京, 2010年6月22日 – IT市場調査会社のスプリングボードリサーチ（本社 シンガポール、代表Dane Anderson）は、2009年に500億円だったSaaS日本市場は年率36.9%で成長し、2014年には2,400億円になるとの市場予測を発表しました。同社が発行した「SaaS日本市場予測 2009-2014年」によると、「迅速かつ容易な導入」がSaaS利用企業に最も支持された理由でした。
大企業のSaaS導入率が拡大
スプリングボードリサーチが実施したユーザー企業調査（有効回答数 3,578社）によると、日本市場のSaaS導入率は 13.6%でした。社員数1万人を超える大企業でのSaaS導入率が42.3%と最も高く、社員数規模が大きい企業ほどSaaS導入率も高い傾向が明らかとなりました。一方で、社員数100人以下の小企業のSaaS導入率は7.0%と最も低く、中小企業ほどSaaSに対する認知度も低い結果でした。
スプリングボードリサーチ日本市場担当のリサーチマネージャー 柏木成美は「多くのSaaS利用企業は、従来のライセンス購入と自社管理を前提とするオンプレミス型の選択肢を比較検討しており、導入スピードが最終的な決定要素となる傾向が、特に大企業で顕著となっている」と指摘しています。SaaSベンダーにとって、中堅・中小企業に対しても自社が提供する具体的なサービス・保証内容や利用効果は何かを分かりやすく説明し、認知度向上に向けた活動が重要になっています。
カスタマイズ特性
マルチテナント型サービスであるSaaSの利点と利用制限についての市場の理解は深まりつつあります。一方でSaaS利用時に、標準外の機能追加やカスタマイズ仕様を要求する日本企業の割合は突出して高くなっています。Salesforce.comが提供するForce.comの例に見られるように、柔軟な基盤や開発環境の利用が可能になったことで、日本企業のカスタマイズ要件を満たせる従量課金型のアプリケーションサービスの選択幅が拡がりました。
日本のIT市場は、複数年の開発期間を要する大規模なシステム構築（SI）案件にその成長を支えられてきた歴史があります。しかし、どの企業にも激変する世界経済の圧力がかかっており、従来型SI投資とそのリスクを回避したい動機が高まっています。こうした中で、ITサービスベンダーやシステムインテグレーターにとって、SaaS導入時に伴うSI・コンサルティング、他システムとの連携、他のサービスを組み合わせた業種特化型ソリューションの展開など、新たな商機が期待されています。
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調査レポートについて今回の発表内容の詳細は、スプリングボードリサーチ発行の「Japan SaaS Market Forecast and Update, 2009-2014 （SaaS日本市場予測 2009-2014年）」に掲載されています。本レポートでは、2009年から2014年までのアプリケーション別* SaaS日本市場規模および成長率予測のほか、日本企業の企業規模別／業種別SaaS利用状況、SaaS選択理由／非選択理由、SaaS導入時のチャネル等に関してのユーザー企業調査結果を分析しています。市場規模予測は、ユーザー調査やベンダー取材で収集されたデータの分析結果に基づいています。市場規模は、2009年の年間平均為替レートUS$1.00あたり93.62円で計算されています。
* CRM（営業支援、顧客サービス＆サポート、マーケティング）、コンテンツ＆コラボレーション（Eメール、インスタントメッセージ、グループウェア、Web会議、eラーニング）、ERP/PLM/SCM（財務・会計、購買・調達、需要予測、サプライチェーン管理、倉庫管理、配送管理）、HR（人事管理、勤怠管理、給与管理）、その他（セキュリティ、システム管理、業種特化型アプリケーション等）に分類されています。
スプリングボードリサーチ社について 2004年に設立されたIT市場専門の調査機関です。シンガポール本社、オーストラリア、中国、インド、日本、マレーシア、パキスタン、アラブ首長国連邦（ドバイ）、米国に事業拠点があり、経験豊富なアナリストが調査活動に携わっています。ソフトウェア、サービス、ネットワーク、チャネル、新興国市場、産業別分析などで調査実績があり、グローバルIT企業ほか通信事業者、政府および金融機関などが主要顧客です。情報サービス産業の調査・アドバイサリー機関であるOutsell社より、世界IT市場調査業界の“Rising Star”としての評価を受けています。日本では、2008年10月にスプリングボードリサーチ株式会社が設立されました。『ナレッジプラットフォーム』ブランドでeラーニングコースの開発・運用サービスも提供しています。詳しくは当社Webサイト www.springboardresearch.com をご覧下さい。
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